転職で、年収アップは叶うのか

収入は多いに越したことがないというのは、現代社会を生きる人の共通認識です。
転職の目的として、「収入(年収)」をアップさせたいとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
転職することによって、収入が増えることになれば、生活が豊かになり、仕事へのモチベーションも上がることでしょう。
我々転職エージェントにとっても、転職のお手伝いをする方の収入が上がることは喜ばしいことです。

ただ、全員が転職で年収増が実現するとは限らず、現職と同じ、もしくは年収が下がる場合もあります。
今回は、転職先の年収に対する考え方、注意点についてお伝えしていきます。

◎短期的な収入増よりも、長期的な視点で考える
提示された年収が、現職での年収に届かない、もしくは現職とあまり変わらない場合、
その後の伸び幅について考えてみると良いでしょう。
企業によって、給与体系は様々です。
年齢給で昇給していく会社、個人の業績に連動したインセンティブの割合が多い会社、
明確な昇給の規定がない会社など、業界やその会社の置かれている状況によって異なります。
実力主義なのか、年功序列の要素が強いのかといった会社の風土もポイントになります。
面接のときに、給与体系や会社の体質などのデリケートな質問はしにくいかと思いますので、
その会社の内情をよく知っているエージェントから情報を得ると良いでしょう。

◎現職の給与水準が標準よりも高い場合は、年収増は難しい
一般的に、東証一部上場企業を中心とした「大企業」と呼ばれる会社にお勤めの方の給与水準は、
東証二部やマザーズ上場企業、非上場の中堅・中小企業にお勤めの方と比べ、勤務地域が同じであったとしても
30%~50%高くなることが珍しくありません。
特に、地方都市(福岡や広島、仙台、札幌など)に在住の方で、勤務先が東証一部上場企業である場合、
同地域への転職で年収を上げようと思っても、なかなか難しいでしょう。
各種メディアなどで発表される平均年収ランキングの上位にある企業にお勤めの方は特に、
転職によって年収が下がる可能性の方が高いと考えて活動をした方が良いでしょう。

 ◎条件提示は、「期待半分・不安半分」で出されることが多い
年収は、「がんばって成果をあげたこと」に対する報酬と、「会社からの期待・要望」に対する報酬で
成り立っていることが多いです。
採用する企業側は、応募者の転職前の会社での実績や経験を評価して待遇の提示をしますが、
実際のところ入社後にどれぐらい高いパフォーマンスを発揮してくれるのか、会社の期待・要望に応えてくれるのかと、
期待半分、不安半分で採用することになります。
日本の法律では、正社員は簡単に解雇できないため、「不安、不確実性」の分だけ最初の年収提示を低くする企業が
まだまだ日本には多いのです。

収入を上げるというのは、会社員である限り誰もが求めたいものです。
ただ、仕事は収入だけのためにするものではありませんよね。
目先の収入だけにとらわれて、他に大切にしたい要素(例えば、会社の考え方や仕事内容)を重視せずに
転職をしてしまうと、その会社に愛着が持てなかったり、仕事にやりがいを見出せず、またすぐに
転職を考えるようになる可能性もあります。

もちろん、現職の収入が業界・職種の相場よりも極端に低いという場合は、「収入アップのための転職」になるかとは
思いますが、それでも、収入以外に大切にしたいことを決めて転職をした方が、長く働き続けられる可能性が高いでしょう。
また、転職で年収が下がる可能性が高い方は、「年収が下がってでも転職をしたいのか」それとも、
「年収を下げるぐらいなら今の会社に留まるのか」を考える必要があるでしょう。

 転職活動で最も不安な要素の1つでもある、転職先の年収。
私どもは、率直に相場観をお伝えする立場ですので、ご不安な場合は是非ご相談ください。